視察レポート
2015年はミレニアム開発目標(MDGs)のゴールの年で、MDGsの乳児死亡率を下げる目標は2030年までの持続可能な開発目標(SDGs)に引き継がれました。
MDGsがゴールをむかえた節目として、2010年からの6年間の成果を数字でふりかえります。
Report1SARAYA100万人の手洗いプロジェクトは、2010年から始まり6年が経ちました。
ウガンダ保健省をはじめ、ウガンダ政府は、「ウガンダにおける疾病の75%以上は予防可能なものと考えられ、基本的に個人および家庭の衛生習慣の乏しさおよび衛生設備が十分に利用されていないことに起因している」という認識をはっきりと打ち出しており、衛生状況の改善は引き続き優先課題となっています。
2016年以降もプロジェクトは続きます。今後もウガンダでさらなる衛生状況の改善を支援していきます。
ミレニアム開発目標(MDGs)の1,000出生中31、1,000出生中45(5歳未満児)には達しませんでしたが、かなり改善されたと考えられます。
現場からの声
- 「ティッピータップが設置されて、とても幸せだ」
- ティッピータップを設置した家のお父さん
- 「手洗いのキャンペーンを始めてから、コレラや腸チフス、
下痢などの病気は明らかに減り、出席率は格段に上がった。」 - 小学校校長先生
Report2支援の現場から 手洗いで家庭に掃除道具までそろうようになりました。
Butwata,2015年12月3日、カンパラ市から車で4時間ほどのムベンデ県キガンダ郡のButwata村。実り豊かな緑が広がる小さな村で、ウガンダではよく見かけるなじみのある光景です。
県が主催した水と衛生の関係者が研修訪問でセッボワさんの家を訪問しました。質素な泥づくりの小屋がいくつか並び、収穫されたとうもろこしやバナナが置かれていました。セッボワさんと家族が育てるのはとうもろこしやバナナだけではありません。
11歳になる娘のシシーさんは、私たちを小屋の裏側に案内し、木の柱に取り付けられたティッピー・タップを見せてくれました。その横には緑の草。家族が手を洗うたびにティッピー・タップから水がしたたり落ち、草が茂るようになりました。その草は家を掃除するほうきになります。
「ほうきが足りないというのがいつも言い訳になって、みんな家を掃除しないのです」とシシーさんが説明します。
プロジェクトでは衛生推進キャンペーンを実施、トイレの後や食べ物を扱う前、赤ちゃんに食事を与える前などに石けんで手を洗う必要性や家を定期的に掃除する必要性を訴えています。セッボワさんの家族は、「100万人の手洗いプロジェクト」の資金支援を受け、このキャンペーンの恩恵を受けている家族のひとつです。
メッセージは確かに彼らの心に届いているようです。
セッボワさんの家族は、費用をかけずにほうき不足を解決する方法を見つけたのです。「私たちは、手洗いとほうき草の栽培を一緒にしたのです。ほうき草を手洗い場の近くに植えれば、誰かが手を洗うたびに水やりができます。草で実験してみましたが、石けんで手洗いをしても、植物に影響はないようです」
ウガンダは、2030年までに衛生に関する持続可能な開発目標(SDGs)を達成するために、より集中的に手洗いを普及してゆく必要があります。簡単な方法で、多くの恩恵があります。
シシーさんは、「私たちは、古いほうきが使えなくなったらすぐに交換できる新しいほうきを用意しています。近所の人たちにも同じようにしたら、とすすめています。だって、いつも私たちにほうきをねだりにくるんですもの」と笑顔を輝かせながら話してくれました。