視察レポート2010

視察レポート

2010年2月、社長をはじめ、社員によるプロジェクトチームが、支援対象国となるアフリカ・ウガンダへ現地視察に赴きました。
現地で、実際に目にして知ったこと、感じたことをレポートします。

Report1ユニセフ・ウガンダ事務所でのミーティング

日本から、飛行機を乗り継ぎ、アフリカ・ウガンダの首都カンパラへ。視察初日は、ユニセフ・ウガンダ事務所でのミーティングが行われました。日本から訪れた視察チームを、ユニセフのメンバーが笑顔で迎え入れてくれました。まずは、現地ユニセフ事務所からのブリーフィング。この国の衛生状態の厳しさ、そして、ウガンダでのユニセフの衛生活動全体の概要の説明を受けます。
続いて、サラヤ社長、更家悠介から、サラヤのカンパニープレゼンテーションを行いました。

1950年代に、液体手洗い液を日本で初めて開発し、日本の衛生環境の改善に貢献してきたヒストリーや、また、CSR活動として、ボルネオでの環境保護活動を続けてきたことなどを説明しました。

  • ユニセフ・ウガンダ事務所
  • サラヤ社長、更家悠介のプレゼンテーション

特に、戦後の日本の衛生状態の改善のグラフには、現地事務所スタッフから、「どうやって日本は改善することができたのか?」などの質問が飛び出し、現地のユニセフスタッフが、技術的な指導も含め、サラヤに、大きな期待を寄せていることが伝わってきました。

ミーティングの後には、現地事務所に、ノータッチ式ディスペンサーを寄贈。手を差し出すと自動で動くその仕組みに、現地事務所のスタッフも驚き、思わず笑顔に。日本とウガンダの、新たなパートナーシップのはじまりを感じました。

  • ユニセフスタッフから質問があがる
  • ユニセフスタッフと意見交換

Report2支援対象地域となる北部、キトゥグム県へ。

二日目、視察チームは、キトゥグム県へ。ウガンダ北部のキトゥグム県は、20年以上に渡って武力衝突が続き、多くの人が住む場所を奪われ、避難民となって困難な生活を強いられていました。戦闘は終結し、現在は、もともと住んでいた場所に戻るための支援活動が政府やユニセフを中心に行われているといいます。

視察チームを乗せた自動車は、アフリカの大地をひた走ります。ウガンダは、砂漠のアフリカのイメージとは違う、緑と草原の国です。大地から木々が伸び、空は広く、豊かな自然を見ていると、この地の悲しい過去が嘘のようです。

支援対象となるAcholibur小学校を視察に訪れました。生徒数は約850名。視察チームが訪れると、たくさんの子どもたちが笑顔で集まってきます。校長先生といっしょに、学校を巡りながら、衛生の問題についての説明を受けます。
タンクの蛇口は壊れたままになり、トイレの外に設置された手洗い場はタンクが盗まれ使えない状態になっていました。

  • Acholibur 小学校、授業風景
  • タンクが盗まれた手洗い場

校長先生Otto Pius Kwintousさん (46歳)にお話を聞きました。 「足りないものがたくさんあります。これだけの子どもたちがいるのに、井戸もひとつしかありません。多くの手洗い設備も壊れたままになってしまっています。先日も村ではE型肝炎が発生し、下痢などが原因で学校を休んでいる子どもも多いのです。先生たち自身が、もっと衛生に関する教育を受けなければいけないとも感じています」

この地域は、紛争難民とその復帰が大きな課題となっています。小学校に隣接する村を訪れましたが、村全体の雰囲気も暗く、家の中を見せてもらうと、換気の悪さをはじめ、厳しい衛生状態にあることを感じました。

  • Acholibur 村の様子
  • Otto校長先生の話を聞く

また、別の支援対象地域となるAmilobo小学校も訪れました。このAmilobo村は、避難民が元の村に帰るまでの生活をしている村であり、人の出入りが多く、コミュニティとして結束しにくい、という課題も抱えているといいます。
小学校に、トイレはあっても、ことごとく、手洗い場が壊れ、まったく手洗い場が使えない状態です。

支援予定地を視察していて感じたのは、ハード面の改善だけでなく、ソフト面の支援の必要性。手洗いに対する、大人の意識を高めて、村が一体となって、衛生環境の改善へ乗り出し、手洗い場を大切に使うように意識を変えていくことが必要だと強く感じました。

Report3ユニセフの支援が実施されている小学校を視察。

さらに、視察チームは、ユニセフの指導によって、理想的な手洗い環境を実現しているいくつかの小学校や村も視察することで、これからの支援の成果をイメージすることができました。

Potuke小学校では、授業の一環として、子どもたちが主役となった衛生に関する劇を行っていました。
調理していないものを汚い手で食べて、おなかが痛くなり、コレラになったというストーリーで、最後には、子どもが保健員の役になり、どうしてこういう問題が起きたかをみんなで話し合うシーンが展開します。「清潔にしていないことが問題です」「ゴミは埋めるか、焼くかしましょう」「うんちを外でしているのはよくないことです。うんちがわき水にまざり、ばい菌が入ってしまいます。だから、トイレをつくり、手を洗う必要があります」・・・。

手洗い場を見学すると、大切に使われており、子どもたちが、うれしそうに指のすみずみまで手を洗う様子を見せてくれました。

  • Potuke 小学校の衛生劇の様子
  • 手洗いを教える Odora 校長先生
大切に使われている手洗い場

校長先生、Odora Freda さん(52歳)にお話を聞きました。
「ユニセフの支援によって、壊れた給水設備が改善されました。また学校では、衛生に関する教育をはじめると同時に、子どもたちによる衛生クラブをつくることで、子どもたち自身が、教室の清掃や手洗い設備の管理を行い、手洗いの大切さについて考えるようになりました。

そうした支援や活動によって、汚れが原因になるような病気がなくなりました。それには、手洗いが有効でした。給水設備ができてきれいな水が使えるようになったことも大きいです。
それまでは、下痢、マラリア、腸チフス、コレラがありました。E型肝炎も流行していましたが、手洗いをするようになってからなくなりました。マラリアはゼロではありませんが、大幅に減りました。生徒が、休まずに、学校にこられるようになりました。衛生クラブの活動によって、野外で用を足す人の数が減少し、具合が悪くなる人が減りました。

この学校に通う子どもたちの多くは、肝炎やコレラなどの病気で、身近な兄弟や、親をなくしています。病気になった理由は手洗いをしていなかったこと、ごみがあるような環境だったこと。だから、手洗いをすることと、きれいな環境にすることが必要!そういうわかりやすいメッセージを伝えています。そして、子どもたちは習ったことは、家庭で、親にも伝えていきます」

  • Potuke 小学校の子どもたち
  • ウガンダの子どもたちの手、手、手

この国では、手洗いが生死に関わるものだということ。そして、何より、衛生を改善していこう、という自発的な意識の大切さを知りました。

SARAYA 100万人の手洗いプロジェクトでは、手洗い場の設置だけでなく、衛生教育に力をいれています。プロジェクトが進むことで、支援対象地域の村の人々の意識が、どう変わっていくのか、プロジェクトチームは、これから丁寧に見守りつづけたいと思います。

Report4視察を終えて

サラヤ 社長 更家悠介

「地球の片側に日本という国があって、もう片側にウガンダがあって、お互いが地球市民として一緒に生きていけるような、そんなお手伝いができればいいなと思います。子どもたちの笑顔を見ていると、この素晴らしい笑顔を未来につなげていきたい、そんな気持ちに自然となりました。そして、戦後の日本で衛生環境を改善したサラヤのつぎの使命として、世界の衛生環境を改善してゆこうと、改めて強く思いました」

マーケティング担当部長 代島裕世

「今回は、手洗いのプロジェクトの一環で訪れましたが、衛生の問題だけでなく、この国が、抱えている多くの問題も認識しました。ただ、今回思ったのは、手を洗えるようになれば、この国に、穏やかな幸せな生活が訪れたんだと思えるようになる、ということ。そんな日を目指して、SARAYA 100万人の手洗いプロジェクトを進めていきたいと思います」