視察レポート
SARAYA100万人の手洗いプロジェクトは、4年目へ。
2010年から2012年までの最初の3カ年の計画の成果を確認するため、2013年2月22日、SARAYA更家悠介社長をはじめ、プロジェクトチームは、4度目の視察に訪れました。
Report1手洗いを、40県から、全国へ広げたい。
視察初日、プロジェクトチームは、まずウガンダの首都カンパラにあるユニセフ・ウガンダ事務所へ。
全国手洗いキャンペーンコーディネーターのChrisから、この3年間の成果のレポート、そして、これから3年間の計画について説明を受けました。
石けんによる手洗いキャンペーンは、子どもの死亡率の低下、手洗い普及率の増加など、プラスの効果をもたらしていました。
今後の目標は、40県で実施してきたこの3年間の成功のノウハウをもとに、政府、自治体、支援団体、NGO、民間企業などと、より広範なパートナーシップを築き、今後は全国レベルに広げていくこと。Chrisのプレゼンテーションからは、熱意が感じられました。
また、プレゼンテーションの中で印象的だったのは、「一番手が洗われていないタイミングは、子どもにおっぱいや食事を与える前」という事実。こうした現場での発見を元に、プロジェクトは細かい改善を続けていました。
Report2手という名前の県、ムコノ県。
今回視察する場所は、アフリカ・ウガンダの東部にあたります。
最初の村は、ムコノ(Mukono)県。"Mukono"とはスワヒリ語で「手」を表します。手洗いキャンペーンのもっともよい成果が上がっている県のひとつです。
2008年の時点では、石けんで手を洗う人の割合は8%でしたが、2011年には石けんで手を洗う人の割合が34%にまで伸びた(全国平均27%)といいます。
St. Ponsianon Gondwe小学校を訪れると、校長先生が、「手洗いのキャンペーンを始めてから、コレラや腸チフス、下痢などの病気は明らかに減り、出席率は格段に上がった。」と教えてくれました。
驚くべき成果が上がっていたのが、Samuka村。2012年の世界手洗いの日で優秀村として表彰された村です。Fatumaさんがこの村の手洗い大使になった2012年9月から6ヶ月の間に、174世帯の村に170基のTippy Tapが設置されたのです。
次にブギリ県のNakasita村へ。日本語に近い村の名前に、親近感がわきます。
村の手洗いアンバサダーのMr.Mulero Georgeにインタビューをすると、意気込みを教えてくれました。
「なぜ手洗いアンバサダーをやろうと思ったかというと、村の人びとに健康になってほしいから。もう、わたしたちはどうして病気や下痢になるのか知っている。汚れた食事をとったり、ハエがとんできたり、そういうことで下痢になり、子どもたちが下痢で死んでいる。わたしは村の人に死んでほしくない、だからこのボランティアの仕事を引き受けた。」
村をまわると、どの家にもTippy Tapが設置されていました。また、どの家も清潔感があふれていました。
Report3手洗いの大切さを伝える、子どもたちのお芝居に感動。
プロジェクトチームは、Itakaibal 小学校を訪問。1053人の子どもたちが迎えてくれました。この小学校は、緑にあふれる素敵な雰囲気の小学校です。この小学校では、手洗いの大切さを、ポエム、お芝居、ダンスで学んでいます。子どもたちは、普段学んでいることの成果を披露してくれました。
ポエムは、「衛生(Sanitation)!衛生(Sanitation)!衛生(Sanitation)!」からスタート。衛生の大切さを、リズムや韻を踏んだような詩の形式で、みんなで同じ動作をしながら訴えます。
次は、お芝居です。男の子が「パンケーキをあげる」というと、「手を洗ってないからもらえないわ」という女の子たち。「そんなの大丈夫だよ」という男の子に、「手を洗わなければコレラや下痢になってしまうのよ」と女の子たちが力説......と物語が進んでいきます。見ている子どもたちからも笑い声が起きます。こうやって楽しみながら、学んでいくことの効果を目の当たりにしました。
最後は、ダンス。ウガンダのダンスは、子どもたちもプロ級。圧倒的なリズム感でした。
その後、プロジェクトチームは、ナンコマ副郡の村の集会に参加。参加者に「家にTippy Tapがある人は?」と問いかけたところ、9割以上の手があがりました。
Report4手洗い普及率100%の副郡へ。
視察の最後は、ケニアとの国境近くの県、トロロ県へ。トロロ県のモロ副郡は、石鹸による手洗いの普及率100%を達成した唯一の例。
保健査察官は、「多くの人びとの熱心な活動によって、良い衛生成果を達成することができた。」といいます。
モロ副郡では、手洗いの大切さを伝える大人たちのドラマグループが、積極的に活動を続けています。そのパフォーマンスを見せていただきました。
♪Improving Sanitation, Improving Sanitation in a home
We shall live a better life...♪
全国手洗いコーディネーターのChrisは、ドラマグループに感謝の言葉をのべました。
「手洗いの普及は達成可能なものである、ということを証明してくださった。本当にありがとう。これから他にも多くの国から、この地域の成果を見にやってきます。ぜひこの成果を維持できるよう、このままがんばってください!」
保健センターを訪れると、手洗いキャンペーンの少しずつ成果が出てきていました。下痢の発生件数については、たとえば2011年と2012年を比較し、同じ月の12月では122→61、1月では122→81と減少が見られました。残念ながら、マラリアについてはあまり減少が見られませんでした。まだまだ、これからです。
また学校では、手洗いの大切さを伝えるカレンダーや、先生への教材を配布する準備も進められていました。
Report5ウガンダと日本。ユニセフとSARAYA。続くパートナーシップ。
最終日、視察チームは、首都カンパラに戻り、ユニセフ・ウガンダ事務所でまとめのミーティング。
Keeping Children & Mothers Alive SectionチーフであるKassougue氏より、「こうして毎年プロジェクトの成果を見に来てくださることに感謝している。ぜひ、より良い取り組みのためにフィードバックをください。」との言葉をいただきました。
いままでの3年間の成果と、パートナーシップを確認し、つぎの3年間へ。SARAYA 100万人の手洗いプロジェクトは続きます。